餅の巡洋艦日記

巡洋艦の戦術論と性能論についての記事です.

高Tier巡洋艦の主砲を概観する 各論後編

 

1. 本記事の範囲

 前編では砲弾性能を中心に解説したので, 後編では砲塔性能(装填時間)と主砲門数が絡むHE投射量を解説していきます. この記事でいう投射量とは分間ダメージ(DPM)のことで, HE砲弾ダメージに分間の最大投射弾数を乗算したものです. SAP搭載艦艇についてはSAP投射量に8割を乗算してHE投射量に準じるものとして扱います. 

 主砲性能の要点のほとんどは各論前編で解説し終えた感があるので, この後編はひたすらDPMの具体的な数値を列挙するだけの記事になりそうです. ただし性能値の大まかな序列を把握しておくだけでもカタログスペックを読むのはかなり楽になると思うので, まるっきり無意味なわけでもないはずです. 分間ダメージの先にある話題, 例えば装填時間や斉射火力の話をするにしても, 議論の叩き台として分間ダメージの大まかな傾向を捉えている必要はあると考えています. 

 本文読むより表を見るというのも総論編, 各論前編と同様です. 本文はおまけ, 表の一部を文字に起こしただけなので流し読みしてください. 

 誤字脱字, データ誤りなどあればこっそり教えて下さい. 

1.1. 汎アジア巡洋艦ツリーについて

 本記事は半年以上前に書いていた記事の続きであり, 実装済み艦艇のデータもまだ更新できていません. 気が向いたら更新するかもしれません. ご了承ください. 

1.2. 関連記事

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補遺 (執筆中)

2. Tier10巡洋艦

 まずはツリーの終着点であるTier10を基準にして, HE貫通力のカテゴリーごとの基準を掴みます. 

表 1. Tier10巡洋艦の投射量

2.1. Tier10大巡クラス

HE貫通力が50mm以上の艦艇が属します. ソ重巡の表面50 mm, 独戦の表面50 mmに貫通弾を出せます.

 重巡ながら独巡1/4ルールの適用によって51mmを抜くHindenburgが18万という非常に優秀な投射量を誇ります. Goliath, Yoshino, Puerto Ricoが14万台に並び, 戦艦並みのAPを持つStalingradは12万と投射量では劣ります. 

 分間火災数では意外にもYoshinoが最も低く, HEダメージ優遇を受ける一方で火災率は通常のものという仕様が影響しています. 

 

2.2. Tier10重巡クラス

 HE貫通力が32 mm以上, 49 mm以下の艦艇が属します. 同格戦艦に対しては表面32 mmの英仏戦を抜き, さらに貫通力38 mm以上であれば米戦の甲板に対しても貫通弾を出せます.

 投射量でトップに並ぶのは言うまでもなく米重巡Des Moinesとその同型艦Salem, 分間10発を超える自動装填8 inch砲9門で27万ものDPMを叩き出します. 前部主砲6門に限っても18万のDPMがあり, これでもなお次点のZaoを上回る投射量を発揮します. 

 続いて大きく引き離されてZaoの17.8万, Moskvaの15.9万, そしてHenri IVの14.1万, Gouden Leeuwの14.0万といった並びです. ただし仏巡Henri IVは主砲装填ブースターを搭載しているため, 実際の投射量はカタログスペックより高めになります. 大巡におけるStalingradと同様の理由で, 重巡ながら戦艦並みのAP貫通力を得たPetropavlovskは12万台とHE投射量では劣ります. 最低はNapoliの10.9万, 投射量だけ見ればもはやTier10に居るのが罰ゲームという数値です.

 分間火災数でももちろんDes Moines級が最高ですが, 続いて9台にZao, そして投射量ではMoskvaに劣っていたHenri IVが優秀な災害力を発揮します. 

 

2.3. Tier10軽巡クラス

 HE貫通力が30mmの艦艇が属します. 巡洋艦表面の30mmはそのまま貫通可能ですが, 戦艦表面の最低値32mmを抜くためにはIFHEが要求されます. 

 米軽巡Worcesterは34万を超える狂気じみた投射量を誇る反面, 弾速は遅めです. ソ軽巡Nevskyは重巡クラスを上回る20万の投射量を非常に速い弾速で撃ち出し巡洋艦相手には強いものの, やはり戦艦相手にはIFHE必須という点がネックになります. 

 分間火災数ではWorcesterが18, IFHEによる火災率半減を受けてもなお9台という十分な数値を維持します. 一方でNevskyはIFHE込みで5というかなり低い数値になります.

 

2.4. Tier10駆逐砲巡クラス

 HE貫通力が29mm以下の艦艇が属します. 同格巡洋艦の表面を貫通するためにはIFHEが要求されます.

 Tier10最高のHE投射量はColbertの59万, そしてSmolenskの38万が続きます. Austinは16万という重巡並みの非常に低い投射量に留まりますが, 主砲装填ブースターによって15秒間の装填時間が1/4になるため爆発力があります. 

 

2.5. Tier10HE不搭載巡洋艦

 伊巡VeneziaはHEの代わりにSAPを搭載しています. AP投射量ではNapoliと同程度という非常に低い値になりますが, SAP投射量を重巡HEの8割程度と考えれば17.8万, Zaoと同程度になります.

 英重巡GibraltarはAP限定234mm砲をGoliath同様に12門搭載していますが, 装填時間の短縮に伴いAP投射量は1.28倍に上昇しています. 

 残る英軽巡2種のAP投射量について, Minotaurは60万, Plymouthは45万となっています. Worcesterの50万と比較すれば分かりやすいかもしれません.

 

2.6. Tier10巡洋艦の投射量まとめ

大巡: Hindenburgが18.3万, Stalingradが12.1万, ほか14万台.
重巡: Des Moinesが27.4万, Petropavlovskが12.2万, Napoliが10.9万. ほか18万~14万. 
軽巡: Worcesterが34.4万, Nevskyが20.0万.
駆逐砲巡: Colbertが59.2万, Smolenskが38.4万. Austinが16.2万(MBRB).

 

3. Tier9巡洋艦

 Tier9は大巡のバリエーションが非常に豊かで, 軽巡および駆逐砲巡は少ない環境になっています. 

表 2. Tier9巡洋艦の投射量

3.1. Tier9大巡クラス

 投射量の傾向についてざっと眺めると, Tier10の14万台に対してTier9では12~11万台が中心です. 

 艦艇ごとに細かく見ていくと, Azumaがトップの13.7万, 続いてRoonの12.8万, Kronshtadtの12.2万, Alaskaの11.6万, Drakeの11.5万と近い範囲に6隻が密集します. 少し離れてCarnotの10.2万, Ägirの9.7万, そして最低は独38cm砲という巡洋艦最大の主砲を搭載するSiegfriedの6.0万です. 

 独Siegfriedは巡洋艦精度で撃ち出される独38 cmの強力なAP, 独Ägirに関しては77 mmという優秀なHE貫通力, 仏Carnotに関しては最大で40 ktを超える機動力がトレードオフになっているものと思われます. 

 分間火災数についても7台前半にほとんどの艦艇が集中しますが, Roon, Carnotがやや低く6台に留まり, そしてまたしてもSiegfriedが4.7という極端に低い値になっています.

 

3.2. Tier9重巡クラス

 米Des Moinesの自動装填砲を連装砲塔3基6門として搭載する米Tulsaが18万台でもっとも高く, 米Buffaloおよび日Ibukiはそれぞれ16.8万と14.4万, 主砲装填ブースターを搭載する仏Saint Louisが13.7万と続きます. 15 km地点のAP貫通力が240 mmを上回る超重巡クラスの蘭Johan de Witt, ソRigaのHE投射量は11万台というやや低めの値です. 

 

3.3. Tier9軽巡クラス

 2隻のみの実装です. Seattleが24万とTier9最高の投射量を誇る一方で, 重巡並みの貫通力を有するDonskoiは重巡クラスにさえ劣る14.4万という低い投射量になっています.

 旧仕様においてDonskoiはIFHE込みで米戦の甲板38 mmに貫通弾を出せるという点で差別化が図られていましたが, 現仕様では投射量とAP貫通力で重巡に並ぶため重巡勢との競争では厳しい状況に置かれています. 

 

3.4. Tier9 HE不搭載巡洋艦

 伊BrindisiのSAP投射量を8割に割引くと15万弱になるため, 同格の重巡勢とほとんど同じ水準にあります. 英Neptuneは15 km着弾時間が最も遅い一方で, AP投射量が最も高いTier 9巡洋艦です. 

 

4. Tier8巡洋艦

 Tier8は重巡および軽巡が非常に多く, とりわけ軽巡のバリエーションには目を見張るものがあります. しかし同一の弾道性能を持つ艦艇も少なくないため, 弾道性能が一致している艦艇をグループとしてまとめていくと把握しやすいと思います. 

表 3. Tier8巡洋艦の投射量

4.1. Tier8 大巡クラス

 独HipperおよびEugenはツリーTier9, 10と同様の203 mm砲を搭載しています. Eugenのほうが投射量が低いのは, やや高いHPと修理班による継戦能力とのトレードオフです. 英Cheshireおよび米CongressはTier9, 10の同国籍艦艇が搭載する主砲をTier8に降ろしてきた艦艇です. いずれの艦艇もHE投射量が10万から8万程度というかなり低めの値になっています. 

 

4.2. Tier8 重巡クラス

 独Mainzは口径150 mmですが貫通力優遇で重巡HEに準じます. 投射量も火災力も群を抜いており, さらに米戦の表面38 mmを貫通するため対戦艦火力は極めて優秀です. 

 米重巡はAPの砲弾性能で2種類に分かれるのは各論前編で説明したとおりですが, HEの砲弾性能には差異がありません. 投射量に関してはBaltimoreとWichitaが15万と重巡では高く, 煙幕を搭載するAnchorageとRochesterは13万程度とやや低くなります. 

 仏Martelと汎亜Wukongは弾道性能で一致します. Martelは主砲装填ブースターを搭載するため, 素の投射量はWukongより若干低めです. 

 日Mogamiは主砲2種類の選択制ですが, 重巡ver. では13万, 修理班を搭載するAtagoは12万程度です. 

 蘭Haarlemは空襲とのトレードオフ, 日Toneは雷撃機とのトレードオフで投射量は10万前後とかなり低くなっています. 

 

4.3. Tier8 軽巡クラス

 見かけの種類こそ多いTier8軽巡ですが, 実際はソ連152砲搭載が4隻, 米152砲搭載が2隻あるため一括りにしてしまえば分かりやすくなります. 

 投射量を上から見ていくとまず米Clevelandの24万, 日Mogamiの23万, 米Montpelierの22万がトップクラスです. Clevelandは弾速の遅さ, Mogamiは異常に低い火災力を反映しています. MontpelierはClevelandよりも投射量で若干劣るものの, 主砲精度が若干高いという関係にあるようです. 

 中位に並ぶのは仏Bayard, そしてソ連152 mm砲を搭載したソChapayev, Kutuzov, Ochakov, そして汎亜Irianです. Bayardは弾速がソ連152 mm砲に比べて遅いため投射量で並ぶのは不思議に思えますが, エンジンブーストで40 ktを超える高速と主砲装填ブースターの搭載で不足を補っています. ソ連152 mm砲搭載巡はChapayevがレーダー, Kutuzovが煙幕, Ochakovが低耐久高隠蔽レーダー, 汎亜Irianが13.5 km深度魚雷という差別化になっています. 

 英Belfast’43が16万と続きます. 煙幕とレーダーの両立と引き換えに, やや低い投射量と異常に低い火災力, そして持続時間の短い煙幕という多くのものを失っています. 蘭Provinciënは空襲とのトレードオフでHE投射量は15万という低い数字になっています. 

 最後に, 15 km地点のAP貫通力が200 mm前後に達する重巡高速クラスのソTallinnおよびBagrationは, 優秀なAPの代償としてHE投射量は13万から12万となっています. 

 

4.4. Tier8 HE不搭載巡洋艦

 伊AmalfiはSAPの投射量を8割に差し引けば14万程度として並の重巡と同水準になります. 英Edinburgh軽巡のなかではAP投射量が抜群に高いというわけではなく, 超回復とレーダーで差別化が図られているようです. 英Tiger’59は煙幕とレーダーの両立と引き換えに投射量を失っています.